• 受動型IoTデバイス網を用いたヒト・モノの状況認識技術の創出

  • バッテリレスの受動型IoTセンシングデバイスとバックスキャッター通信など超低消費電力の通信デバイスを組み合わせ、3Dプリンタを用いた電子回路設計技術を併用することで、ヒトやモノの状況認識に活用可能な受動型IoTデバイスを開発し、それらを多数組み合わせた受動型IoTデバイス網を構築し、ヒトやモノの移動軌跡推定や活動把握のような高度な状況認識を行うIoTデバイス連携型の状況認識技術の創出を行う。

科研費:基盤研究(S) (R1-R6)

受動型IoTデバイス網

IoTや無線通信、AI・ビッグデータを活用した「超スマート社会」の実現を目指した様々な研究開発が進められている。IoTを活用した超スマート社会の実現には、バッテリレスでメンテナンスフリーなIoTデバイス(以下、「受動型IoTデバイス」と呼ぶ)の普及が重要である。一般にIoTデバイスでは、センシング、プロセス、通信の3つの処理に電力を消費するが、通信に要する電力が非常に高く(センシングは数十μWオーダ、無線通信は数mW〜数百mWオーダの電力を消費する)、IoTデバイスのインターネット接続のキーとなる技術は超低消費電力の通信方式の普及である。

近年、数Mbpsで数十メートルの距離で送受信可能なWi-Fiベースのバックスキャッター通信技術(十μW程度の消費電力)や数メートルの距離からデータの送受信が可能なRFID通信技術が開発されつつある。また、環境発電で得られた電力のみを用いたセンシング素子や、人の行動把握のための低消費電力センシング技術も考案されてきている。しかし、バックスキャッター通信やRFID通信をベースにした既存セン

シング技術の多くが、対象地点における人の存在や移動の有無など比較的単純な状況認識技術の開発に留まっている。本研究では、受動型IoTデバイス網でのアプリケーション層と物理層のクロスレイヤーの知識を活用したり、複数の受動型IoTデバイスを用いた機械学習機構を構築したりすることにより、人やモノの高度な状況認識技術を創出することを目指す。

受動型IoTデバイス網を用いたヒト・モノの状況認識

本研究では、バッテリレスの受動型IoTセンシングデバイスとバックスキャッター通信など超低消費電力の通信デバイスを組み合わせ、3Dプリンタを用いた電子回路設計技術を併用することで、人感センサ、加速度センサ、カメラ、温度計など、ヒトやモノの状況認識に活用可能な受動型IoTデバイスをカスタムメイドで開発する。また、それらのデバイスをメッシュ状に多数組み合わせた受動型IoTデバイス網を構築し、人やモノの移動軌跡推定や活動把握のような、単独の受動型IoTデバイスでは実現が困難な高度な状況認識を行うIoTデバイス連携型の状況認識技術の創出を行う。さらに、それら人やモノの状況認識に適用可能な受動型IoT

センシングデバイス群を用いて、(i)高齢者施設での見守り、(ii)スポーツ選手の活動把握、(iii)ヒトやモノの移動軌跡推定、(iv)子供達の人間関係把握のためのソシオグラム構築、(v)風力・地盤変動把握、(vi)商業施設などの空調管理、に活用可能な状況認識技術を創出するとともに、様々な状況認識システムを構築できるよう、受動型IoTデバイス網を用いた状況認識システムの設計開発支援環境を開発する。

エナジーハーベストな状況認識技術の創出

受動型IoTデバイス網を用いた様々な状況認識システムを開発し、その有効性を評価・検討することで、政府が推進する「超スマート社会」の実現に資する人やモノの状況認識技術の創出に貢献すると共に、それらの状況認識システムの設計開発環境を実現することで、様々な状況認識システムの普及にも貢献するものと考える。

【関連発表論文】
Y. Hara, R. Hasegawa, A. Uchiyama, T. Umedu, T. Higashino: "FlowScan: Estimating People Flows on Sidewalks Using Dashboard Cameras Based on Deep Learning", Journal of Information Processing, Vol.28, pp.55-64, 2020.

T. Higashino, A. Uchiyama, S. Saruwatari, H. Yamaguchi and T. Watanabe: “Context Recognition of Humans and Objects by Distributed Zero-Energy IoT Devices”, Proc. of 39th IEEE Int. Conf. on Distributed Computing Systems (ICDCS 2019), pp.1787-1796, 2019.

Y. Fukushima, D. Miura, T. Hamatani, H. Yamaguchi and T. Higashino: “MicroDeep: In-network Deep Learning by Micro-sensor Coordination for Pervasive Computing”, Proc. of 4th IEEE Int. Conf. on Smart Computing (SMARTCOMP 2018), pp.163-170, 2018.