• ヘルスケア・スポーツセンシング

  • スマートフォンや小型センサーなどの情報端末を活用することで、新たなライフ・イノベーション技術が構築できると期待され、「健康寿命」の拡大、高齢者のケガや認知症の予防やスポーツ選手の競技力向上などの研究が行われている。本研究グループでは、熱中症検知やスポーツ選手の活動状況推定に資するICT技術の開発に取り組んでいる。

熱中症検知や活動状況推定

簡易型サーモグラフィを用いた日常向け深部体温推定

人体の深部体温は健康状態を表す指標として注目されています。深部体温とは普段計測する体表温度に対して直接測ることの難しい臓器などの身体中枢の温度で、計測するためには、直腸や口腔、鼓膜などの温度を専用の機器で測る必要があり、計測に伴う負担も大きいことから、1日を通した継続的な深部体温の把握は困難です。一方、サーモグラフィの小型化が進んでおり、サーモグラフィ内蔵スマートフォンなどを用いて、場所を問わずモバイル環境での温度計測が容易に行える環境が整いつつあります。
本研究では、サーモグラフィから得られた可視画像と熱画像のデータを組み合わせ、額、頬、首の体表温度を抽出し、機械学習によって深部体温の推定モデルを構築しています。その際、体表温と深部体温の差を生み出す一因となっている気温を環境情報として、Body Mass Index (BMI)を個人の体型情報としてそれぞれ特徴量として与えることによって、深部体温推定の精度を向上させ、さらに、BMIだけでは考慮できない個人差を考慮するため、あらかじめ取得した個人の学習データに重み付けを行なった上でモデル構築を行っています。

スポーツセンシング

近年、様々なスポーツにおいてビッグデータを活用することにより、選手のパフォーマンス向上や高度な戦術プランの作成に役立てられています。例えば、サッカーのトラキングデータを用いた機械学習に基づくプレー認識手法や 9軸センサ(3軸加速度・3軸角速度・3軸地磁気)を用いた車いすバスケットボール中の屋内位置推定に取り組んでいます。車椅子バスケットボールの屋内位置推定では、車いすのいす下と両車輪の車軸につけられたセンサから得られたデータと事前に計測した車いす形状から、単位時間ごとの変位と方向を推定し選手一人ひとりの移動軌跡を導出します。センサデータによる屋内位置推定における累積誤差を小さくするために

車いす同士が衝突した際の両者の推定位置を併合する手法を考案しています。

ひきこもり防止に向けた生活行動把握技術の開発

ひきこもりは全国に54 万人、予備群も165 万人存在するとされ、社会的に大きな問題となっています。大学においても、ひきこもり学生が授業に出席しなくなることで、留年や退学に至るケースが増加しています。 ひきこもりの予兆としては、(1) 睡眠時間の乱れ、(2) 授業出席意識の低下、(3) 活発度の減少が挙げられます。現状では症状が重症化して医療機関に来院することが多く、医療側が予兆を検出することは困難です。そこで、早期の対応に繋げられるように、日常的にひきこもりの予兆がないかを推定する仕組みの構築に取り組んでいます。
本研究では、大学生のひきこもり防止を目的に、少ない負担で継続的に大学生の生活状況を認識し、ひきこもりになりそうな予兆が見られた際には、医者と連携しながら改善指導が行える学生生活支援システムの実現を目指しています。 学生生活支援システムでは、スマートフォンを用いてセンサデータやアンケートを収集し、大学生の生活状況の推定から、予兆の有無を判断します。本人同意のもとで収集した生活状況を医療側に提供し、医療側からフィードバックが得られるようにします。

【関連発表論文】
Hiroki Yoshikawa, Akira Uchiyama, Teruo Higashino: "ThermalWrist: Smartphone Thermal Camera Correction Using a Wristband Sensor", Sensors, Vol.19, No.18, Article No.3826, 2019.

Ryosuke Hasegawa, Akira Uchiyama, Teruo Higashino: "Maneuver Classification in Wheelchair Basketball Using Inertial Sensors", Proceedings of 12th International Conference on Mobile Computing and Ubiquitous Network (ICMU 2019), pp.1-6, 201).

Hiroki Yoshikawa, Akira Uchiyama, Yuki Nishikawa, Teruo Higashino: "Combining a thermal camera and a wristband sensor for thermal comfort estimation", Proceedings of the 2019 ACM International Joint Conference on Pervasive and Ubiquitous Computing and Proceedings of the 2019 ACM International Symposium on Wearable Computers (UbiComp/ISWC Adjunct 2019), pp.238-241, 2019.

Yoshiki Honda, Hirozumi Yamaguchi, Teruo Higashino: "Enabling Low Cost Elderly Monitoring for Connected Communities in Depopulated Area", Proceedings of 2019 IEEE International Conference on Smart Computing (SMARTCOMP 2019), pp.401-408, 2019.

Hiroki Yoshikawa, Akira Uchiyama, Teruo Higashino: "Dynamic Offset Correction for Smartphone Thermal Cameras Using a Wristband Sensor", Proceedings of the 17th IEEE International Conference on Pervasive Computing and Communications Workshops, (PerCom Workshops 2019), pp.165-170, 2019.

Teruo Higashino, Akira Uchiyama, Shunsuke Saruwatari, Hirozumi Yamaguchi, Takashi Watanabe: "Context Recognition of Humans and Objects by Distributed Zero-Energy IoT Devices", Proceedings of 39th IEEE International Conference on Distributed Computing Systems (ICDCS 2019), pp.1787-1796, 2019.

Yoshiki Honda, Hirozumi Yamaguchi, Teruo Higashino: "Daily Activity Recognition based on Markov Logic Network for Elderly Monitoring", Proceedings of the 16th IEEE Annual Consumer Communications & Networking Conference (CCNC 2019), pp.1-6, 2019.

Takashi Hamatani, Moustafa Elhamshary, Akira Uchiyama, and Teruo Higashino: "FluidMeter: Gauging the Human Daily Fluid Intake Using Smartwatches", PACM on Interactive, Mobile, Wearable and Ubiquitous Technologies (IMWUT), Vol. 2, No.3, Article No.113, 2018.

Tomoki Imai, Akira Uchiyama, Takuya Magome, Teruo Higashino: "Play Recognition Using Soccer Tracking Data Based on Machine Learning", Proceedings of the 21st International Conference on Network-Based Information Systems (NBiS-2018), pp.875-884, 2018.

Yuta Fukushima, Daiki Miura, Takashi Hamatani, Hirozumi Yamaguchi, Teruo Higashino: "MicroDeep: In-network Deep Learning by Micro-Sensor Coordination for Pervasive Computing", Proceedings of the 2018 IEEE International Conference on Smart Computing (SMARTCOMP 2018), pp.163-170, 2018.

Tomoki Irnai, Akira Uchiyama, Takuya Magome, Teruo Higashino: "Play recognition using spatio-temporal relationship of football tracking data", Proceedings of the 10th International Conference on Mobile Computing and Ubiquitous Network (ICMU 2017), pp.1-2, 2017.

Takashi Hamatani, Akira Uchiyama, Teruo Higashino: "HeatWatch: Preventing Heatstroke Using a Smart Watch", Proceedings of the 2017 IEEE International Conference on Pervasive Computing and Communications Workshops (PerCom Workshops, WristSense’17), pp.661-666, 2017.

Takashi Hamatani, Yudai Sakaguchi, Akira Uchiyama, Teruo Higashino: "Player Identification by Motion Features in Sport Videos Using Wearable Senosors", Proceedings of the 2016 9th International Conference on Mobile Computing and Ubiquitous Networking (ICMU 2016), 2016.

スポーツ研究イノベーション拠点形成プロジェクト(SRIP)

大阪大学では、国立スポーツ科学センター(JISS)や他大学、企業と連携し、「スポーツ研究イノベーション拠点京成プロジェクト(SRIP)」を実施しています。SRIPでは、最先端の医学、工学、情報科学などの研究分野の融合により「ジャパン・スポーツ・サイバーフィジカルシステム(JS-CPS:Japan Sports Cyber Physical System)」構築の実証と教育プログラムを実施します。このスポーツ研究イノベーション拠点では、日本の先駆的医学・工学・情報科学の成果、ものづくりの伝統、IT技術をスポーツ分野に応用し、先進的、革新的スポーツ研究と、オリンピック競技やパラリンピック競技における我が国の国際競技力向上を担う人材育成を行うことにより、日本のスポーツ国際競技力を世界トップにする環境構築を実証する拠点を目指しています。東野研究室もSRIPのメンバーの一員として、情報学とスポーツ科学の融合を目指した研究を行っています。