研究テーマ紹介|スマートホーム

スマートホームでのセンシング

人々の行動を把握する各種センサーとそれらを繋ぐネットワーク技術を家庭内に導入することで,より豊かで快適な暮らしを可能にするスマートホームは,近年の環境問題や省エネルギーへの関心を背景に普及しつつある.省エネルギーは特に喫緊の課題であるため,家庭内の家電の制御を行うことでエネルギーを管理するHEMS(Home Energy Management System)とスマートグリッドの連携によるデマンドレスポンスなど,様々な取組みが為されている.一方,豊かで充実した生活を送るためには,省エネルギーばかりでなく健康や家族間のコミュニケーションなどについての生活改善も必要であり,スマートホームにはエネルギー管理と生活改善支援の両方の機能が望まれる.

研究グループでは,居住者の家庭における生活改善アドバイス生成システムの設計開発を行っている.このシステムでは,食事や睡眠といった日常的な行動を様々なセンサーによって検出し,電気料金や健康指標などを改善可能なアドバイスを自動で生成,提示する.例えば電気料金の高い時間帯に実施している,家電利用を伴う行動(掃除など)は安い時間帯に実施するよう提示され,運動不足を検出した場合に適切な運動時間と消費カロリーが提示される.家庭内行動の検出にはプライバシー侵害への抵抗感が少なく,赤外線センサー等で安価に実現可能な人検知センサーを用いることが望ましいが,個別の住居に対応するためのキャリブレーション操作やセンサー位置登録など設置時に複雑な操作を求められることが多い.このような導入時負担は特に高齢者家庭などへのシステム普及の障壁となるため,可能な限り安価で設置が簡易なシステム設計が望まれる.

本研究では,生活行動アドバイス導出に必要となる家庭内行動を把握するため,配置が容易なポータブル型人感センサーおよび電力消費モニターを複数利用した家庭内位置推定システムを設計開発する.提案手法では特定の位置や家電に関連付けされていない人感センサーならびに電力消費モニターを対象住居に複数設置するだけで,各人感センサーが居住者の滞在あるいは移動のいずれを主として検知しているかを,対象住居での数日程度の検知データから自動で推定する.また,消費電力から利用家電を推定し,家電の利用行動と前述の滞在場所を関連づけることで,滞在場所の属性(リビング,キッチン,寝室等)を推定する.これにより,センサー位置登録や家電登録を要することなく対象住居での宅内行動を正しく把握するシステムを実現することを目指す.

生活改善アドバイスシステム

「掃除機の稼働モードを弱にすると1日あたり50円節約できます」,「通勤手段を自家用車から自転車に変えると消費カロリーが200kcal増加し,健康的です」など,各家庭の居住者の生活の“質”を向上させるための行動改善をアドバイスするシステムの研究と実装に取り組んでいる.アドバイスの導出にあたっては,クラウドソーシングを活用した大規模なアンケート調査から“生活を充実させるための知恵やノウハウ” を抽出し,それに基づく生活改善指標(金銭,健康,快適など)と改善ルール(節電,交通手段の改善,規則的な生活など)を設計している.さらに,センシングデータとMarkov Logic Networkによる行動認識に基づき,個々の居住者に合わせた生活改善アドバイスを提供するシステムの実現を目指している.


発表

  1. 中村 笙子,廣森 聡仁,山口 弘純,東野 輝夫,山口 容平,下田 吉之 : " スマートハウス内センシングを活用した生活行動推薦システム " , マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2014)シンポジウム , 2014年7月 .PDF
  2. 中村 笙子,志垣 沙衣子,廣森 聡仁,山口 弘純,東野 輝夫 : " 大衆の生活ノウハウの定量化とモデル化による生活改善アドバイス生成システム " , 電子情報通信学会ASN研究会 , 2015年1月 .PDF
  3. 中村 笙子 : " マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2014)シンポジウム 優秀プレゼンテーション賞 " , 情報処理学会 , 2014年7月 .
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