研究テーマ紹介|モビリティ解析・モデリング

ヒトやクルマなどのモビリティの把握に関する研究を行っています

都市群衆・人流把握

センサフュージョンによる都市群衆・人流の可視化

近年,様々なセンサを活用することにより,人の移動や滞留,すなわち人流情報を直接計測及び推定する研究が多数実施されています. 特に,被災状況や避難状況を迅速に把握することが求められる災害支援において,様々なセンサを組み合わせた人流情報の取得は有効であると考えられます. しかしながら,人流情報は時間的に変化し,また,その情報量は膨大であるため,人流情報を一見して理解することは困難です.

本研究では,異なるセンサから得られるセンサデータを適切に融合することにより,複数のセンサから人の移動と滞留からなる人流情報を導出し,この人流情報の時間的変化を可視化します. 人の移動を把握可能なセンサ領域において,センサ領域内に滞在する人の数を計測し,センサ領域に色を割り当てることで,人の滞留を表現し, また,センサ領域の外へ移動する人の流出方向を計測することで,センサの種類に関わらず移動先のセンサ領域と,各センサ領域間で移動する人の数を把握可能にします. 各センサ領域から流出する人数分,粒子を経路に沿って動かすことでセンサ領域間の人の移動を表現する.


モバイル端末のCSIを用いた混雑推定

ショッピングモールや空港のような多くの人が利用する施設では,混雑状況を把握することでマーケティングや避難誘導に利用することができます.その混雑状況を推定する手法として,CSIを用いたものが注目されています.CSI(Channel State Information)はIEEE 802.11n以降の通信時に通信品質を向上させるために実装されている機能であり,スマホなどのモバイル端末と商用のアクセスポイントとの通信で得ることができることから低コストな混雑推定を実現できます.しかし,CSIは通信を行う端末の位置関係が変わると特徴が変化し,1地点でのCSIデータを機械学習によって学習しても,通信位置によっては混雑推定の精度が下がってしまいます.そこで本研究では,モバイル端末を利用して得られたCSIでも混雑推定が可能なように,通信を行う端末の位置関係が変化しても推定精度が下がらない混雑推定を提案しています.

屋内位置推定・測位技術

LiDAR(レーザーレンジスキャナ)を用いた歩行者および群衆トラッキング

歩行者トラッキング技術は群衆ナビゲーションや施設設計,避難計画,経路解析といったヒューマンセントリックなアプリケーションを実現する上で近年重要視されてきています. 本研究では,少数のレーザーレンジスキャナ(LiDAR)を用いて歩行者と群衆を同時に追跡する新システムを提案実装しました. 群衆密度が比較的高くない時には,提案システムは各個人の移動軌跡を正確に捕捉して粒度の高い経路解析を実現し,一方で極端に群集密度が高い時には,領域内の歩行者数を正確に推定するアルゴリズムに自動的に切り替えます.

また屋内の人の行動・ソーシャル情報をLiDARや複数のスマートフォンで捉えて共有することで「パーソナル+群衆+ソーシャル」ナビゲーションを実現し、大阪の商業ビル内で実証実験を継続中です。

研究内容紹介動画は こちら


LiDARセンサを用いた屋内マップ生成

死角をなくし,かつ広い範囲を計測するために複数のLIDARを設置してセンシングを行う際には,人物の同定や軌跡の一致判定を行うためにLiDARセンサ間の距離と相対方位角(位置関係)を用いて各センサの計測データを統合する必要があります. しかし,既存のシステムではLiDARセンサ間の位置関係を実測によって設定しており,システム導入時および調整時に多大な人的・時間的コストがかかってしまう点で課題が残っています.

本研究では,屋内閉空間の壁面などに設置された複数のLiDARセンサを対象に,自動でLiDARセンサ間の位置関係を推定するとともに,推定結果を用いて対象空間のマップを生成しています. LiDARセンサが屋内空間の輪郭部分を計測することに着目し,LiDARセンサで計測された壁などの平面体を線分によって表現するとともに,空間形状のエッジとなる部分を点として抽出し, これらの特徴の重なりを定量的に評価することでLiDARセンサの計測データ間での形状一致推定及び同一物体推定を行って位置関係を推定,計測データを統合して屋内マップを生成するアルゴリズムを提案しています.

ITS(高度交通システム)関連技術

車両速度情報と測域センサ情報を併用した前方車両認識

近年,測域センサや車載カメラなどの車載デバイスの高性能化に伴い,それらで収集可能な各種情報を統合し周囲の状況をリアルタイムに判断することで安全運転を支援する先進安全技術が, 自動運転の実現に先立つ形で実用化されてきています(例:自動ブレーキシステム,車線逸脱検知システム). このような先進安全技術は,自律的に周囲の車両や歩行者の存在を検知できる点で安全運転支援に資することになり,車載デバイスの搭載率は今後飛躍的に普及すると予測されていますが, デバイスの検出範囲を超えた周辺認識には課題を残しています.

本研究で考案した手法では,測域センサを搭載するいくつかの車両が検出した車両の情報を車車間通信可能な車両と共有し, それらに含まれる距離情報を適切にマッチングさせることで,通信相手車両の正確な存在位置を検出します. そして,その結果をもとに通信相手車両の周辺車両検出情報を合成することで,自車両の検出範囲を超えた車両群の認識を可能にしています. 他車両からの周辺車両の情報を用いることにより,自車両の見通し範囲外の車両(トラックの影に隠れて検出範囲内にあるが見通せない前方車両など)の存在も認識可能となります.

歩行者および車両の非通常行動のリアルタイム検出

日本では年間約40万件の交通事故が発生していますが,その裏では,事故に繋がりかねないヒヤリハット事象がより多く発生しています.加えて,交通量が多い横断歩道を無理に横断したり,多数の児童が登下校する生活道路を頻繁に車両が通行するといった,危険な交通状況も数多く発生しています.こういった危険交通状況を排除し,歩行者や車両にとって安全安心な交通環境を実現するためには,危険交通状況の検知と分析が不可欠になります.例えばヒヤリハットに関するデータ収集・分析にはドライブレコーダの急加速度をトリガーとした映像記録が有効ではありますが,レコーダからの常時映像データ収集は協力者数や通信コストの観点から容易でありません.そこで本研究では,歩行者およびドライバ双方の普及率が高いスマートフォンを用いた交通状況理解システムを提案します.スマートフォンの常時モーションセンシングにより,専用デバイスを必要とせず,より多くの交通参加者の情報収集が期待できます.提案手法では,スマートフォンの「異常行動」をトリガーとし,周辺歩車の慣性センサーの時系列データを収集するとともに,歩車のプロファイル情報や位置・道路地図情報を統合することで,危険交通状況の正確なコンテキストを推定します.

先進車両モデリングとシミュレーション

車両が様々なものとつながるコネクテッドカーの実用化が進み,従来車とコネクテッドカーが混在する過渡期が近々訪れます.コネクテッドカーはLiDARやカメラを用いたセンシング技術により周囲の交通状況情報を取得し,近々普及するとされる次世代通信規格を用いた通信技術により情報共有を行うことで交通安全を促進します.しかし,コネクテッドカーの普及率が低ければ,従来車がセンシングにおける障壁となり死角を作りうるため,車両のみのセンシングでは正確な交通状況の把握が困難となります.そのため,路側機などのインフラセンサとの情報共有が必要となりますが,インフラセンサは設置コストが高いため,広範囲にわたる設置は現実的ではありません.また,無作為的な大容量データの情報共有は輻輳による伝達遅延をまねき,交通安全に影響を及ぼす恐れがあるため,それら共有する情報のデータ量は考慮する必要があります.そこで本研究では,コネクテッドカーモデルとして,センシングや通信を行う車両モビリティモデルを作成し,ある交通事故多発シナリオでの各コネクテッドカー普及率におけるインフラセンサのセンシング範囲の最適化や,通信周期および類似した交通状況情報の観点による通信データ量の最適化に取り組んでいます.

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