研究テーマ紹介|モビリティ解析・モデリング

車車間通信を用いた車両間協調による周辺車両群の存在把握

路車間DSRC(狭域通信)を用いた交通情報や安全運転支援情報の配信が一般的になっているが,広域へのサービス展開はコストの観点から容易でない.そこで,車車間通信を活用し,各車両が自車の位置情報を定期的にDSRCで送信することで,近隣の車両存在把握を車両相互に行う周辺把握技術が注目されている.しかし,車載器の普及段階では車載器非搭載車両の情報を知ることができない.一方,車載レーダーやカメラなどの車両の自律安全を目指した周辺認識デバイスを利用することで自車周辺で検知可能な車両が増加しつつある.

このような現状をふまえて,私は自車周辺に存在する車両の正確な存在把握を行うための研究に取り組んでいる.提案している手法では,GPS受信機と全方位レーダーや全方位カメラなどの周辺認識デバイス,および,DSRC対応機器を保持する搭載車両が一定の割合で存在する環境を想定し,GPSから測位した自車両の現在の位置情報と周辺車両認識デバイスの検知結果より計算した周辺車両への相対位置情報を,車車間通信により搭載車両間で共有する.そして,各搭載車両が複数の位置情報を統合することで,自車の周辺認識デバイスでは把握できない車両も含めた周辺車両の存在を把握する.

シミュレーション実験により提案手法の性能評価を行った結果,車載器搭載車両が全車両の30%程度であっても,車載器搭載車両周辺の半径500m以内に存在する車両の約60%を位置誤差2.0m以下で高精度に把握できることを確認した.

交差点車列長推定モデル

準備中

雪道速度モデル

冬季に多量の積雪がみられる積雪都市においては,降積雪が交通流に大きな影響を及ぼしている.路面上に雪が堆積することにより,自動車が道路を走行しにくくなるだけでなく,堆積した雪が道路脇に積み上げられることで道路の幅員が狭くなるため,その道路の交通容量は大きく低下する.降積雪が道路交通に与える影響を把握することは,積雪都市における交通計画管理上重要な課題である.

本研究では,世界有数の積雪都市である札幌市において収集されている交通データの1つであるブローブカーデータから得られる道路交通情報,及び降雪量や積雪量などの気象データを収集し,これらのデータを重回帰分析によって分析することで,気象条件の変化に伴う道路交通速度の変動を推定するモデル式を作成する手法を提案している.このモデル式を路線ごとに作成し分析することにより,気象条件の変化が雪道の交通速度の低下に与える影響について評価を行う.

札幌市内の実道路上のプローブカーデータを用いて,複数の路線に対し提案手法によるモデル構築を行った結果,雪道の交通速度の低下は気象データによってある程度説明可能であることを示した.また,路線ごとの速度低下要因の違いについても考察を行っている.

LRSによる歩行者・群衆トラッキング

歩行者トラッキング技術は群衆ナビゲーションや施設設計,避難計画,経路解析といったヒューマンセントリックなアプリケーションを実現する上で近年重要視されてきている.歩行者トラッキング技術に関する既存研究では,これらのシステムは特定の実験環境下で歩行者の流れや空間的分布を正確に捉えることが出来ると主張されているが,私は一般商業施設での長期に渡る実地実験を通じて,これらのシステムを現実世界でロバストに機能させるには依然として大きな困難があることを発見した.システムは,特に関心領域が多くの来訪者で混雑している時には,観測領域内にいる歩行者をしばしば見逃してしまう.歩行者群衆の存在と行動は,展覧会場でのブースの人気度を推定する,効率的な災害避難計画を構築する等の際には必須の情報であるため,この問題はトラッキングシステムの有効性を著しく損なうおそれがある.本研究では,少数のレーザーレンジスキャナ(LRS)を用いて歩行者と群衆を同時に追跡する新システムを提案実装した.群衆密度が比較的高くない時には,提案システムは各個人の移動軌跡を正確に捕捉して粒度の高い経路解析を実現する.一方で極端に群集密度が高い時には,各歩行者の移動軌跡を継続的に追跡するのは非常に困難であるため,領域内の歩行者数を正確に推定するアルゴリズムに自動的に切り替える.そのために,LRSの測距データから2つの特徴量を抽出し,重度のオクルージョン下で群集密度を推定する経験的回帰モデルを生成する.

シミュレーション,研究室実験,大阪都心の大規模商業複合施設内展示スペースでの長期に渡る実地実験を敢行し,その結果からアルゴリズムとシステムが多様な状況で実践的で適切なパフォーマンスを達成できていることを確認した.

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論文・発表・表彰など

  1. 藤田和久,樋口雄大,廣森聡仁,山口弘純,東野輝夫),下條真司 : " 多数の訪問者が滞留する展示会場における群衆検出システムの設計開発 " , 情報処理学会第72回MBL研究会 , 2014年8月 .
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